世界各国、様々な人々が、共通の基準をもとにダイヤモンド取引が出来るように、
GIA〔米国宝石学会〕によって作られたダイヤモンドの等級を表現するための基準です。
その等級の基準は、以下の4つの要素を熟練の鑑定士が観察して区分します。
- ■色/Color(カラー)
- ■透明度/Clarity(クラリティ)
- ■研磨/Cut(カット)
- ■重さ/Carat(カラット)
全国の宝石店が説明するダイヤモンドの「4C」とは、上記の4つの要素の頭文字をとって呼ばれているものです。
一般的に無色透明に観察出来るダイヤモンドほど高い評価になります。
熟練の鑑定士が完全に無色と観察出来るDカラーから、徐々に黄色(茶色)が濃くなるにつれ、評価はZカラーまで下がっていきます。
Dカラーはカラー評価の中で唯一、上限がありません。
Eカラー以上に無色と観察出来る全てのダイヤモンドがDカラーとなるため、A~Cといった評価は存在しないのです。
各区分の色の目安は次の通りです。
アルファベット順に評価は下降していきますが、その等級の差を一般の方が視認することは困難です。
- ・DEF:無色透明
- ・GHIJ:ほぼ無色
- ・KLM:かすかな黄色(茶色)
- ・N-R:非常に薄い黄色(茶色)
- ・S-Z:薄い黄色(茶色)
またZカラーの色味以上の濃さを観察出来ると、無色透明とは別の評価の対象となります。
無色透明とは逆に、美しく明瞭な濃さの地色に観察出来る天然ダイヤモンドのカラー等級は、
D~Zの等級から区分し「ファンシーカラー」と呼ばれて、評価が上がるのです。
熟練の鑑定士の目により、ダイヤモンドの内部および表面に存在する特徴(個性)を観察し、
透明度に影響する度合い(目立ちやすさ)に応じて11等級に区分評価します。
特徴(個性)とは、ダイヤモンド表面で観察される様子や、内包物の大きさ・位置・色・数・性質・その反射像などを総合的に考慮した結果を示すものです。
拡大倍率10倍のルーペおよび顕微鏡で熟練の鑑定士が視認出来たものが対象となります。
鑑定書では、特徴(個性)の様子を図示するプロット図が作成されて掲載されることがあります。
その凡例は「表面から内部に入り込んだ、あるいは内包された特徴(個性)」は赤、「表面で観察された様子(表面上の特徴)」は緑で図に記されます。
「緑」で示された特徴は、熟練のカッター(職人)のさらなる研磨によって改変、改善できる場合があります。
そのため、「赤」で示される特徴(個性)のほうが評価に大きく影響するのです。
最も価値が高いのは、熟練の鑑定士であっても、これらの特徴が全く視認出来ないものとなりますが、自然が作り出すダイヤモンドでは殆ど存在しません。
透明度/クラリティの11等級の区分(グレード)は以下の通りです。
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・FL/Flawless (フローレス)
熟練の鑑定士が10倍に拡大して見ても石の内部・表面に特徴(個性)を確認できない。
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・IF/Internally Flawless (インターナリー・フローレス)
熟練の鑑定士が10倍に拡大して見ても石の内部に特徴(個性)を確認できない。
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・VVS1/Very Very Slightly Included 1 (ベリー・ベリー・スライトリー・インクルーデッド1)
熟練の鑑定士が10倍に拡大して見て特徴(個性)等の発見が困難。
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・VVS2/Very Very Slightly Included 2 (ベリー・ベリー・スライトリー・インクルーデッド2)
熟練の鑑定士が10倍に拡大して見れば特徴(個性)等の発見が出来るが困難。
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・VS1/Very Slightly Included 1 (ベリー・スライトリー・インクルーデッド1)
熟練の鑑定士が10倍に拡大して微小な特徴(個性)等の発見ができる。
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・VS2/Very Slightly Included 2 (ベリー・スライトリー・インクルーデッド2)
熟練の鑑定士が10倍に拡大して特徴(個性)等の発見ができる。
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・SI1/Slightly Included 1 (スライトリー・インクルーデッド1)
10倍に拡大して特徴(個性)等の明確に発見できる。
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・SI2/Slightly Included 2 (スライトリー・インクルーデッド2)
10倍に拡大して特徴(個性)等の容易に発見できる。拡大して発見後、その特徴の場所を確認しながらであれば肉眼で目視出来る場合がある。
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・I1/Imperfect 1 (インパーフェクト1)
特徴(個性)等や傷が肉眼でも発見できるが、見栄えや輝きには影響がない。
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・I2/Imperfect 2 (インパーフェクト2)
特徴(個性)等や傷が肉眼でも容易に発見できる。
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・I3/Imperfect 3 (インパーフェクト3)
特徴(個性)等や傷が肉眼でも容易に発見でき、見栄えや輝きが鈍い。
以上のように下の区分になるほど評価や価値は下がりますが、特徴(個性)は、天然のダイヤモンドであるという手がかりになる場合があったり、
その特徴がかえって希少性を高める事もあったりするので絶対悪の存在とは言い切れません。
また、あくまで熟練の鑑定士以外の一般の方が観察して明瞭な区分が出来る事もありません。
特にVS2以上の区分では極めて繊細な「差」を見つけ出す作業となります。
研磨/Cut(カット)
4Cの評価の中で唯一、人の手が加わり方が評価対象となる区分です。
正確なプロポーション(米国宝石学会が定めた理想の形)との整合性と、仕上げの丁寧さ(表面研磨の質と、形の対称性)で決まります。
プロポーションの整合性は専用機器による自動測定で、仕上げの丁寧さは、熟練の鑑定士が10倍に拡大し、目視観察によって評価します。
カットの等級とその名称は以下の通りです。
- ・Excellent(エクセレント/最上)
- ・Very Good(ベリーグッド/とても良い)
- ・Good(グッド/良)
- ・Fair(フェア/まあまあ)
- ・Poor(プア/残念)
ダイヤモンドのカット評価が輝きの強弱を完全に決めるものではありません。
ダイヤモンド表面の研磨面(ファセット)の大きさと角度の絶妙なバランス等も重要です。
従ってカット評価は、研磨されたダイヤモンドの完成度の高さを示す目安と言えます。